失われた時を求めて

プルースト著、鈴木道彦訳『失われた時を求めて』1巻読了。
かなり面白い!表現が美しい!たとえば…
「何かが当たったように、窓ガラスに小さな音が一つした。それにつづいて上の階の
窓から砂粒をまいたように、たっぷりと軽やかに落ちてきたものがある。ついで
それが広がり、規則正しく一つのリズムを帯び、水になり、響きを発し、音楽を奏で、
無数の粒となって、あたり一帯を覆った。雨だ。」とか
「けれども私が思わずうっとりしたのは、群青色とバラ色に濡れたアスパラガスを前に
したときで、その先端には薄紫色と空色が細かくちりばめられ、一方まだ畑の土で汚れている
根元の方に下がるにしたがって、地上のものとも思えない七色の虹で少しずつぼかされていく
のだった。こういった天上の色のニュアンスは、アスパラガスが実は美しい女たちであることを
示しているように見えた。彼女たちは面白がって野菜に変身し、その食べられる引きしまった
肉体の変装を通して、この生まれ出たばかりの暁の色、さっと描いた虹の図、青い夕べの色の
消滅の中に貴重なその本質を見せており、私は夕食にアスパラガスを食べると、あとまでその
本質を認めることができるのだった」とか。
ストーリーよりもまず描写が凝っているので、退屈せずに読めるし、
これはすばらしい小説なのではないかと今さらながら思っている。
ただ、一巻を読み終わってしばらく経ったが、
なかなか2巻に手を出せない…。最近ちょっと忙しいからかも。。。
合間に『ゲゲゲの娘、レレレの娘、ラララの娘』読了。
NHKの連ドラは見ていないけど、ブームに乗って読んでみた。
手塚治虫の娘さんはほんとにピノコそっくりでびっくり。